痛みの種類から疾患を知る
痛みは身体が不調を知らせるサインです。痛みとひと口に言っても、ズキズキする痛みや痺れるような痛み、刺すような鋭い痛みなど様々な種類の痛みがあります。
ここでは痛みの種類と痛みを感じる部位から、どのような疾患が疑われるか、その疾患に対する治療法を紹介したいと思います。
あくまでも一般的な傾向であり、疾患を断定するには実際に診させていただくのが確実です。くれぐれも自己流でケアして、症状を悪化させないようお気をつけください。
痛みを感じる部位と痛みの種類
首が痛む疾患
寝違い
「朝目覚めて体を起こそうとしたら首に激痛が・・・」。これが典型的な寝違いの症状なのですが、このような経験のある方はけっこう多いのではないでしょうか。極度に疲れた、もしくは夜寝ている間に首が冷えたことによって硬くなってしまった筋肉に咄嗟の力が加わることで、筋肉が傷ついて痛みが出ている状態です。通常は「首を動かそうとすると痛い」のですが、炎症がひどく、じっとしていても痛みが出る場合は氷水で冷やすなどの処置が必要です。炎症がある場合には筋肉を揉みほぐすのは逆効果です。鍼やお灸で炎症を抑え、テーピングなどでケアします。逆に、炎症がなく筋肉が硬くなりすぎている場合には、それらの筋肉をほぐしていきます。同時に背骨の歪みも取り除きます。
頸椎捻挫(けいついねんざ)
この症状は広い意味では「寝違い」と呼ばれることも多いのですが、首への負担によって筋肉ではなく靭帯(じんたい)が傷ついて痛みが出ている状態です。基本的な対処方法は「寝違い」と同じです。炎症があれば鍼、お灸で処置をし、炎症がなければ骨の歪みを整え、場合によっては硬くなっている筋肉をほぐします。ただし、一般的に靭帯は筋肉に比べて血液の循環量が少なく、回復には時間がかかる場合が多いです。
頸椎椎間板ヘルニア(けいついついかんばんヘルニア)
これは、首に過度の負担がかかり、骨と骨の間にあるクッションである「椎間板(ついかんばん)」が傷ついて変形してしまい、神経を圧迫することによって肩や腕に痛みやしびれが出るものです。多くは首の骨の歪みを改善したり筋肉をほぐしたりといった施術をさせて頂くことになるのですが、整形外科でCT検査やMRI検査といった画像検査が必要になる場合が多いため、そちらと合わせて処置をさせて頂きます。単純な筋肉の痛みに比べると回復に時間がかかることが多い症状です。
肩が痛む疾患
五十肩
正式には「肩関節周囲炎(けんかんせつしゅういえん)」という呼び名がありますが、一般的には「四十肩」や「五十肩」と呼ばれます。肩の関節のまわりには細かい多くの種類の筋肉があります。何らかの理由でこれらの筋肉に過剰な負荷がかかり、炎症を起こした状態です。複数の筋肉が一斉に炎症を起こしているため、その範囲は非常に広く、痛みは肩だけではなく背中や二の腕などにも出る場合があります。とにかく痛みが強い時期と、固まってしまって全然腕が上がらない時期があるのが特徴です。病状の進行や回復の過程がかなりゆるやかで、治るまでに早ければ半年ぐらい、長ければ一年半から二年ほどかかる人もいます。大切なことは、適切な処置を続ければ必ず治る症状であるということです。病状の進行具合に応じて、整体、鍼灸、テーピング、運動療法など様々な方法を組み合わせて施術いたします。
腱板(けんばん)損傷
肩の関節は肩甲骨(けんこうこつ)という骨に上腕骨(じょうわんこつ)という二の腕の骨が連結した構造になっています。この連結がほどけてしまわない様につなぎとめている複数の筋肉や腱をまとめて「腱板(けんばん)」と言います。肩に過剰な負荷がかかり、この腱板が傷ついて炎症を起こしているのが腱板損傷です。炎症による痛みに対してはアイシング(氷水で冷やす)や鍼灸、テーピングで対処します。また、日常生活における悪い姿勢が原因で鎖骨や肩甲骨の歪みもこの症状を助長するため、整体でそれらの対処も行います。適切な処置をしつつ安静にできれば2週間程度で治りますが、「日常生活の中で肩の筋肉を使わない」という事が非常に難しいため、1~2か月ほどかけてじっくりと改善していく場合が多いです。
インピンジメント症候群
この症状は腕を上に上げようとしたときに肩に痛みを感じるもので、日常生活で腕を酷使した際にしばしばみられる症状です。腕を真横に上げていくときに使う筋肉の1つに「棘上筋(きょくじょうきん)」という筋肉があり、この筋肉は骨と骨の間にある狭い隙間を通り抜ける構造になっています。そのため、何らかの原因で肩の骨や腕の骨が正しい位置からズレたり筋肉が腫れたりすると、スムーズに骨の隙間を通ることができずに痛みが出ます。「気を付け」の姿勢から腕を真横に上げていった時、だいたい60度~120度の範囲の角度で痛みが出るのが特徴です。逆に上げ始めや真上まで上げたところでは痛みが出ません。骨と筋肉との摩擦を解消するため、整体で肩甲骨や腕の骨の位置を整えます。筋肉の炎症がきつい場合にはアイシング(氷水で冷やす)や鍼灸が効果的な場合もあります。
上腕二頭筋長頭腱炎(じょうわんにとうきんちょうとうけんえん)
肩から腕にかけての筋肉を酷使するなどの負荷により、上腕二頭筋(じょうわんにとうきん)という筋肉の一部が炎症を起こして痛みが出るという症状です。肩の前面から二の腕の方に痛みが出るのが特徴です。炎症を起こしている部分を直接揉みほぐすのは良くありませんが、その周りの筋肉が非常に硬くなってしまっている場合が多く、そういった筋肉を整体でほぐすのは有効です。炎症部分はアイシング(氷水で冷やす)や鍼灸施術が有効です。
肩峰下滑液包炎(けんぽうかかつえきほうえん)
これは筋肉や靭帯ではなく、「滑液包(かつえきほう)」という、肩を守るためのクッション部分が傷ついて炎症を起こして痛みが出るものです。肩というのは非常に狭い場所に様々な骨や筋肉が密集している部分なので、日常生活における動きによって摩擦が発生し、傷つきます。それを防ぐために、筋肉と骨の間にクッションとして存在するのが「滑液包(かつえきほう)」です。ただ、それでも過度に肩や腕を動かすと、この滑液包が傷ついて炎症を起こします。この症状に対しては、筋肉をほぐすよりは肩甲骨や二の腕の骨の位置を正しい位置に調整する整体が有効です。肩の周辺で起こっている様々な筋肉や骨の過度な密集、圧迫を解消することで痛みを取り除きます。炎症を起こしている最中は痛い場所に直接アイシングも重要です。 まれに、原因が「過度な負担」ではく何らかのバイ菌が侵入して発生する場合もありますので、痛みがなかなか改善しない場合には整骨院ではなく病院を受診するということも頭に入れておきましょう。
胸郭出口症候群(きょうかくでぐちしょうこうぐん)
肩や首の周りから腕、手の先にかけて痛みやしびれが出るというものです。例えば「腕を上にあげた状態で顔を横に向けようとするとしびれが強くなる」といったように、首や腕を特定の角度にした時が特につらいという特徴があります。脳から伸びている神経が首の部分で枝分かれして手の先まで行き届いているのですが、途中で筋肉と筋肉の間や筋肉と骨の間などの狭い隙間を通っています。日常生活における様々な悪い姿勢によって少しずつ骨や筋肉の位置がズレてくると神経を圧迫してしまいます。これが痛みやしびれの原因となるのです。整体によって骨や筋肉を正しい位置に戻すことで、この神経の圧迫を取り除き、痛みと痺れを改善します。
腰が痛む疾患
筋・筋膜性腰痛(きん・きんまくせいようつう)
筋肉に大きな力(負担)が加わり、筋肉そのものや筋肉を包んでいる膜(筋膜)が傷ついてしまうことによって炎症が発生したもの。いわゆる「ぎっくり腰」です。痛みが出てから2~3日は氷嚢(ひょうのう)や保冷剤を使って冷やした方が痛みが軽くなりやすく、逆に温めたり揉みほぐしたりすると悪化してしまいます。根本的な改善には、背骨や骨盤のずれを整える整体に加えて、炎症を抑えるための鍼(はり)・お灸が効果的です。
腰椎捻挫(ようついねんざ)
腰への負荷によって起こる症状ですが、その負荷が筋肉ではなく背骨の関節やそれを支えている靭帯(じんたい)に加わることで起こる靭帯損傷の一種です。これは実際には「筋・筋膜性腰痛(きん・きんまくせいようつう)」と同時に起こる場合が多く、広い意味ではこれもあわせて「ぎっくり腰」と呼ばれます。強い痛みが出ている最中は無理に動かしたり温めたりしてはいけません。横向きで寝た状態が楽であることが多いです。安静にして冷やしましょう。当院での改善方法は、背骨や骨盤のずれを整える整体、炎症を抑えるための鍼(はり)・お灸が主となります。
仙腸関節炎(せんちょうかんせつえん)
この病名は馴染みのない方が多いかもしれません。痛みの場所が、「腰」というよりは「おしり」に近い骨盤の部分で、ズキッと鋭く強い痛みが特徴です。少し専門的になりますが、骨盤は仙骨(せんこつ)という真ん中の骨の左右両側に腸骨(ちょうこつ)という骨がくっついた構造をしています。この骨同士の連結部分にある靭帯(じんたい)が強い力で引っ張られて炎症を起こしているせいで痛みが出ます。骨盤をしっかりと固定する力がはたらきにくくなっているため、コルセットの装着などのサポートが必要になることが多いです。治療としては、まず炎症を抑えるのには鍼灸施術やテーピングで処置をするのが効果的です。場合によっては氷水で冷やすなどの処置も大切です。痛みの出る動きを極力控えたうえでしっかりとケアをすれば、1週間前後で痛みは治まります。
腰椎椎間板ヘルニア(ようついついかんばんヘルニア)
腰痛の原因としてよく出てくる症状ですが、腰の痛みだけではなく太ももやふくらはぎなど脚にも痺れやだるさなどの違和感が出ることが多いです。腰部分の背骨には骨と骨が直接ぶつからないように椎間板(ついかんばん)というものがクッションとして存在します。腰に大きな負担がかかった時にこのクッションが壊れて変形してしまい、近くにある神経にぶつかってしまうことで痛みや違和感が発生します。整体によって背骨の位置を整え、神経へのぶつかりが解消されれば症状は治まります。ただし、重症度の高いものに関しては整形外科で手術などの処置が必要になるものもありますので、注意が必要です。
坐骨神経痛
おしり辺りから太ももの裏、ふくらはぎや足の裏にかけて痛みやしびれが出る症状です。これは、正確に言うと単独では「腰の症状」ではないのですが、腰の症状と合わせて出現するケースが多い症状です。坐骨神経(ざこつしんけい)というのは、腰からおしりの奥、太ももを通って足の裏までつながっている長い神経です。この神経のどこかが何らかの理由で圧迫されてしまうことで痛みやしびれが出ます。たとえば股関節や骨盤にゆがみが発生し、おしりの奥の方にある梨状筋(りじょうきん)や双子筋(そうしきん)という筋肉が硬くなりすぎた場合、その硬くなった筋肉が坐骨神経を圧迫してしまうことになります。治療としては、股関節のズレや骨盤のゆがみを整体で整え、上記の筋肉をほぐすことで改善します。症状が完全に治るには長い期間を要する場合が多いです。
肘が痛む疾患
テニス肘(上腕骨外側上顆炎)
筋肉の炎症の一種ですが、肘の外側の骨の出っ張り部分の周辺に発生し、痛みが出ます。テニスのバックハンドの動作を頻繁に行うことで筋肉に過剰な負担がかかり、炎症を起こすことが多いために「テニス肘」と呼ばれます。しかし実際にはこの筋肉を酷使する動作は非常に多く、飲食店で働く方や工場で細かい手作業をする方、デスクワークが多い方など、スポーツ以外にも様々な原因でこの症状は発生します。炎症には鍼灸を用いた処置が効果的です。またご自宅ではアイシング(氷水で冷やす)も痛みを和らげるのに有効です。原因がスポーツなどの趣味が原因であれば適切な治療をしながら約2週間程度安静にすれば徐々に痛みが治まります。しかしスポーツ以外の日常生活の動作が原因である場合は安静を保つのは難しいため、治るには2か月~3か月といった長い期間を要する場合も多いです。
ゴルフ肘(上腕骨内側上顆炎)
筋肉の炎症の一種で、肘の内側の骨の出っ張り部分の周辺に発生し、痛みが出ます。ゴルフでクラブを振る動作を頻繁に行うことで筋肉に過剰な負担がかかり、炎症を起こすことが多いことから「ゴルフ肘」と呼ばれます。しかし実際にはスポーツ以外の日常生活の動作でもこの筋肉を酷使するケースは多く、肘の曲げ伸ばしや手首の動きが多い方などにはこの症状が出やすいです。炎症には鍼灸を用いた処置が効果的です。またご自宅ではアイシング(氷水で冷やす)も痛みを和らげるのに有効です。原因がスポーツなどの趣味が原因であれば適切な治療をしながら約2週間程度安静にすれば徐々に痛みが治まります。しかしスポーツ以外の日常生活の動作が原因である場合は安静を保つのは難しいため、治るには2か月~3か月といった長い期間を要する場合も多いです。
手首・手が痛む疾患
腱鞘炎(けんしょうえん)
「腱鞘(けんしょう)」というのは細長い筋肉が通るトンネルのようなもので、手首付近に多く存在します。それぞれの筋肉をこの腱鞘で包むことによって筋肉同士が摩擦で傷つくのを防いでいるのです。しかし日常生活の中で手先をよく動かす用事やお仕事をしていると、自然と手首を動かす頻度が多くなり、腱鞘が傷ついて炎症を起こします。基本的に炎症を起こしている部分は揉みほぐすような刺激を与えるとかえって症状が悪化してしまいます。回復には鍼灸やテーピングが効果的で、ご自宅などでアイシング(氷水で冷やす)をしっかり行うことでも痛みを和らげることができます。ただし、この症状は「日常生活で負担がかかりすぎたために起こる状態」であるため、一定の期間安静にしておくということが難しく、治るまでに数ヶ月かかることも少なくありません。そのため、整体によって肘や肩などの動きをよりスムーズにして手首や指の動きが少なくすむように調整します。
ばね指
「ばね指」とは「弾発指(だんぱつし)」とも呼ばれ、簡単に言うと手の指に発生する腱鞘炎(けんしょうえん)です。腱鞘とは筋肉が傷つくのを防ぐトンネルのようなものですが、物を握る動作の繰り返しなど、指の曲げ伸ばしを頻繁に行うことで負荷に耐え切れず、摩擦による痛みが出ます。さらに傷ついた筋肉が腫れると腱鞘の中をスムーズに通れなくなり、引っかかるような感覚になります。この状態を「ばね指」と呼ぶのです。整骨院での治療は、基本的には炎症に対して鍼灸やテーピング、アイシング(氷水で冷やす)で対処します。さらに、この症状に合併して僅かな指の骨のズレによって関節の動きが悪くなっているケースも多く、整体によって正しい位置に整えることも効果的です。また、「腱鞘炎」の項目でも説明させて頂いておりますが、この症状は「日常生活で負担がかかりすぎたために起こる状態」であるため、一定の期間安静にしておくということが難しく、治るまでに数ヶ月かかることも少なくありません。根気よくケアを続けていくことが大切です。
膝が痛む疾患
鵞足炎(がそくえん)
「鵞足(がそく)」というのは膝関節の内側の少し下の部分のことを指します。この部分は太ももにある3種類の筋肉が合流する部分であり、膝の曲げ伸ばしで大きな負担がかかりやすい部分です。スポーツで酷使するケースが多くみられます。痛みが出る部分が骨の出っ張りのすぐ近くなので、「骨が痛いのかな」と思ってしまいがちですが、筋肉の炎症の一種です。この症状は足首や股関節など、膝以外にも様々な部分の歪みが原因となっている場合が多く、これらの異常を整体で改善することにより痛みを軽減します。また、炎症を起こしている鵞足部分には鍼灸による処置やアイシング(氷水で冷やす)で対処します。
オスグット・シュラッター病
これは成長期の学生さんなどに多い症状で、ジャンプ動作や走る動作が多いスポーツをする方に特に多い膝の痛みで、略して「オスグット」と呼ぶことが多いです。これは太ももの前面にある大きな筋肉である「大腿四頭筋(だいたいしとうきん)」に過剰な負荷がかかりすぎたために起こる炎症をともなう痛みです。特に膝を伸ばそうと力を入れた時に痛みが出るもので、痛む場所は膝のお皿の下2~3センチあたりです。特に成長期は筋肉の成長と骨の成長のスピードが微妙にずれてしまうことがあり、それに加えてさらにスポーツの負荷が加わることが原因で発生します。この症状では、大腿骨(だいたいこつ)や脛骨(けいこつ)、膝のお皿といった様々な骨の位置が正しい位置からズレてしまっていることが多く、これらを整体によって整えて膝の負担を和らげます。炎症の部分には鍼灸やテーピング、アイシング(氷水で冷やす)が効果的です。これらの適切な処置によって痛みに対処できますが、成長期の最中は違和感が残る場合もあり、その場合は成長が終わるまでは定期的な治療を継続する必要があります。
側副靭帯(そくふくじんたい)損傷
「側副靭帯(そくふくじんたい)」とは、膝の関節がグラグラしないよう安定させるためにある靭帯で、膝の内側と外側にそれぞれあります。日常生活の中やスポーツの最中に転倒によって、膝にねじれる力がかかることで側副靭帯が傷ついて炎症を起こします。また、膝に何かがぶつかり、横方向から力が加わった場合にもこの靭帯は傷つきやすいです。損傷の程度によっては靭帯が完全に切れてしまうケースもあり、その場合は整形外科で治療を受けなければいけません。ですので、痛みが強くこの症状が疑われる場合はまず最初に整形外科を受診することをお勧めします。切れていない程度の損傷であれば整骨院で対処できます。アイシング(氷水で冷やす)、鍼灸、テーピングなどで処置をして炎症を抑えます。場合によっては再発を防ぐために筋力トレーニングが必要になることもあります。
十字靭帯損傷
「十字靭帯(じゅうじじんたい)」とは、膝関節の中の方にあり骨と骨をつなぎとめるワイヤーのような強力な靭帯です。通常の家事などの日常生活で損傷するケースは少なく、スポーツなど、それも格闘技などの激しい動きをするスポーツの最中に発生することが多いです。膝関節にねじれる力が強く加わることで発生します。この症状は手術による治療が必要になることも多いため、まずは整形外科で診てもらいましょう。整形外科での治療後、再発を防ぐためやスポーツに復帰するためのトレーニングなどのケアは当院でさせて頂くことができます。整体によって、関節が動ける範囲を広げたり、筋肉の柔軟性を向上させたりすることが可能です。
半月板損傷
「半月板(はんげつばん)」とは、膝の関節部分にあってクッションの役割をするもので、膝で骨と骨がぶつかるのを防いでいます。スポーツなどで膝に過度の負荷がかかって発生することが多いですが、日常生活でも転倒による衝撃などで損傷する場合があります。損傷すると、膝をねじるような方向に力がかかると痛みを感じるとともに「パキッ」という音が鳴ることがあります。半月板はレントゲン写真では見えません。実際に半月板の損傷程度を正確に判断しようとするとCT(シー・ティー)やMRI(エム・アール・アイ)といった検査が必要になりますので、この症状が疑われる場合にはまず整形外科を受診してください。手術などの必要がない軽症例では、再発を防ぐために整体で骨の位置や角度を整えたり、膝を安定させるための筋力トレーニングをさせて頂くことができます。
足首・足が痛む疾患
捻挫(ねんざ)※前距腓靭帯損傷(ぜんきょひじんたい・そんしょう)
「足首のケガといえばこれ」と言っても過言ではないほど、日常生活の中で経験することの多い症状である「捻挫」。走っている最中、階段の昇り降りの最中などで「足をくじく」ことによって発生します。通常、足の裏が内側に向くような方向に強い力が加わり、足首の外側の靭帯(じんたい)が強く引っ張られすぎて傷つき、炎症を起こします。もしも足首から少し離れた脛(すね)の部分や足の甲を軽くたたいても「ズキっ」という強い痛みが出る場合、靭帯だけではなく骨のヒビや骨折といったケガの可能性もありますので、すぐに整形外科を受診しましょう。骨に異常はなく靭帯のみの損傷の場合、炎症に対しては鍼灸やアイシング(氷水で冷やす)が有効です。また、骨の位置のズレや歪みがある場合は整体で整えます。靭帯損傷の程度がきつく歩くときに強い痛みが出る場合はテーピングでしっかりと固定します。適切に処置すれば2~3日で強い痛みはなくなり、その後1~2週間で靭帯は完全に元通りになります。
アキレス腱損傷
「アキレス腱」はふくらはぎからかかとにかけて足首の後ろにある強くて硬いスジです。非常に頑丈なスジで、主にスポーツなどで過剰な負荷がかかった際に負傷します。強く地面を蹴ったときや、大きくジャンプして着地した時に発生することが多いです。最も重症な例では「完全断裂」といって、文字通り完全にアキレス腱が切れてしまっている状態です。また、その一歩手前は「不完全断裂」といって、いわゆる「切れかけ」の状態です。どちらも手術などで早急に処置をする必要があるため、ただちに整形外科に行きましょう。このような「断裂」の心配はないがアキレス腱が痛い場合は、目に見えない程度の小さな傷がアキレス腱に発生して炎症を起こしている可能性があります。整体によってふくらはぎの筋肉をほぐし、踵骨(しょうこつ)や腓骨(ひこつ)と呼ばれる骨の歪みを整えます。また鍼治療と弱い電気による刺激を併用した処置も効果的です。炎症が治まれば、積極的にふくらはぎのストレッチを行ない、柔軟性を高めます。
足底腱膜炎(そくていけんまくえん)
「足底腱膜(そくていけんまく)」とは、足の裏にある筋肉と腱によってできている頑丈な膜です。何らかの原因でこの膜が傷つき、炎症を起こすことで痛みが出るのがこの症状です。足の裏というのは構造上、地面に対してアーチ状になっており、あえて足の裏すべてが地面に着かないようにすることでクッションの役割を果たすようになっています。このアーチをしっかりとキープするために重要なのが足底腱膜なのです。普段あまり体を動かすことがない人がたくさん歩きすぎたり、立ちっぱなしが長時間続いたりすると足底腱膜が強く引っ張られ続けることになり、これが過剰になると膜が傷つきます。炎症に対してはアイシング(氷水で冷やす)とテーピングで処置をします。また、足の指や足の甲部分に骨の歪みが出ていることが多く、それらを整体によって整えます。足底腱膜に負荷をかけなければ1~2週間で治りますが、実際には日常生活で「まったく歩かない」わけにはいかず、どうしても「負荷をかけながらの回復」になるため、1か月~2か月、場合によってはそれ以上という長い期間がかかることもあります。その間、靴をはく時は中敷きを入れるなどして足の裏の負担を少しでも軽減させることで回復を早めることができます。
外反母趾(がいはんぼし)
これは足の指の骨の歪みです。よくある原因は、ハイヒールなどの先端が細い靴を長期間履き続けたことによって、足の親指の先端が小指の方向に向かって大きく傾いてしまう状態です。ひどい場合には親指の先が隣の指の上に重なるように乗り上げてしまいます。この時に親指の付け根の内側部分が出っ張るような形になり、痛みが出ることが多いです。ただし痛みが出ない例もかなりあり、痛みのあるなしには関係なくこのような親指の歪みが認められれば「外反母趾」と判断されます。重症例では専用の矯正器具で治療する必要があり、整形外科を受診して頂く必要がありますが、軽症の場合は整体で指の骨の歪みを矯正することができます。また、骨が出っ張って靴に当たる部分が痛い場合は、保護用のクッションを足に貼って靴を履くなどの処置で対処します。炎症を起こしてズキズキと持続的な痛みが出ている場合はアイシング(氷水で冷やす)やテーピングが必要です。また、予防には「タオルギャザー」と言われる、足の指の体操が効果的です。